2020.10.10.土 コーチの会 「共に持続する地域企業づくり」
SDGsをテーマにしたリフォーム推進協議会主催の「住宅の長寿命化リフォームシンポジウム」が開かれました。
基調講演と事例発表にディスカッションと約4時間のタイムスケジュールでした。
事例発表は私を含め4名でした。
シンポジウムのテーマは「リフォームにおけるSDGsの取り組み」
さて何を話せばいいのか、と思いながらも発表用のPPの作成はあっという間に進みました。
完成したPPを社長と眺めながら
「SDGsを絡めた事業方針、そして事業承継の後半に向けての整理が進んだよね」とほっとしました。
思いもかけないお声かけに最初は焦りましたが、結果的に事業の確認と整理が進みとてもよかったと思っています。
終えてみて感じるのは感謝の思いです。
全世界が合意した17のゴール(理念と目標)と169のターゲット(達成目標)。
これらをコンパスにし、地域などと連携しながら自社がもつエンジンを動かしていく。
その先に課題解決の成果がある、とするのがSDGsです。
後付け手法で育暮家とSDGを紐付けすると、多くの点で重なることがわかりました。
その中で、SDGsが育暮家に勇気と自信を与えてくれたのが事業承継です。
シンポジウムでは、コンパスとエンジンを渡す人とつなぐ人が共有し、スタッフみんなで未来を描く。
そんなお話をさせていただきました。
すこし唐突かも、と感じながらも
話す内容に「全国コーチの会」への夢を加えました。
近年、中小企業の世代交代、事業承継の現状を危惧する報道がよく流れます。
8年前、育暮家もその渦中にありました。
幸い、2年前に事業承継を果すことがかないました。
そこで学んだことがあります。それは、事業承継での「バトンゾーン」です。
事業引継ぎに際し、陸上競技のリレーでバトンを渡すバトンゾーンをイメージしました。
バトンゾーンには「一定の距離(期間)の中でしっかりバトンを渡す」というルールがあります。
❶ バトンを渡す相手を決める(きまる)。 ❷ バトンを確実に渡す。 ❸ バトンをしっかり握る。
この3つの動作を一定の期間内でスムースに行なわなければなりません。
そう簡単にはいきませんが、この期間(いつどのように渡す)が曖昧より明確である方がいいと思います。
あえて、バトンゾーンと言わなくてもすでに経営計画に落とし込まれていて、わかりやすくなっている会社さんが多いとは思います。
でもそうでなかったら、みんなで事業承継を意識し共有する方法(ツール)としてバトンゾーンを描くことは助けになります。
バトンゾーンを意識する為に出したり紙に書いた方が共有しやすいし、伝えやすいですね。
私は3年前ごろ、事業承継までの2000日前当たりから、残り1999. 1998 と事務員さんにカウントダウンをしてもらっていました。
朝礼報告書の隅にナンバーが書いてあったのを思い起こします。
私はバトンを渡す前後の数年間を「事業承継バトンゾーン」と位置付けました。
バトンゾーンを時間軸に置くことで計画が立てやすくなりなりました。
・いつどのように誰が誰に渡すか。
・いつまでに誰がどんな準備をするか。
・渡されたバトンをしっかり握って走りだせるか。
そのために何が必要か。
このバトンゾーンを当事者、社員、関係者がしっかり共有する。
私の経験から事業承継推進に於いてバトンゾーンを描くこと、
それをみんなで共有することはとても意味のあることだと感じています。
次の経営者が何を引き継ぎ、どう繋げどんな未来へと向かっていくか。
これは未来が見えづらくなった近年、事業承継でみんなが一番知りたいことです。
バトンゾーンを出るときは、全員が揃って迷わずアクセルを踏み込んでいる。
この状況をバトンゾーンの決められた期間内で作り上げるには
事業承継でみんなが一番知りたいことをバトンゾーン内で明確にすることです。
ここにSDGsのコンパスが色いろヒントを与えてくれます。
※これは後付けになりましたが。
いずれにしてもバトン渡しは様々な課題と向き合うことになります。
その課題解決が渡す側、引き継ぐ側、どちらかに偏って行われると後に引きずります。
事業承継のバトンゾーンは、渡す者と引き継ぐ者が同じ部屋の中に入り
議論し、計画を進める時期となります。
計画実行は2人3脚になります。
二人三脚で期待するところは1+1=2が最低ラインで、1+1を3以上にすることです。
シンポジウムでは、経営者の年齢と売り上げの関係のグラフを利用して、バトンゾーンの意味を伝えようと試みました。
先代の経験、知識、人脈を、若いつなぎ手の感性やテクニックややる気とどうかみ合わせられるか。
このグラフが伝えていない、私が経験している2人3脚がかみ合ったときの
パワー(そんなに大きくない)と心地よさを話そうとしましたが、時間がありませんでした。
戦後の大きな変化は、10年単位で見ても暮しも経済も風景も変えていきました。
経験、体験の違いは避けられないのです。
裏の小川に魚や蛍がいたことを話してもイメージできない世代とのミキシングが
ひょっとしたら、よく言われるイノベーションを生むかもしれません。
そう考えると、若い経営者にとって、経験を持つ人の知恵や技術が身近にあることは
大きな資源である、財産になるのではないでしょうか。
経験1+若い発想1は=2以上になる要素を持っています。
先代は若い人のもつ最新情報やツールを使って、経験や知識を再構築や発信ができるかもしれません。
うまくかみ合えば必ず上の表以上の結果になると思います。
如何にかみ合わせるか。(価値観共有を前提に、でも成長につれて価値観が変わっていくことも)
バトンゾーンを描く意味はここにあります。
引き継ぐ者は、最初は何もわからない中で先代の方針に従うことに疑問はありません。
やがて経営が見えてくると、自分の考えを主張、反映したくなります。
ならなければ事業を引継ぐ能力がないということになりますが。
先代は後継者不足の時代に引き受けてくれた後継者が頼りなくてもかわいいものです。
でも自分の意見を持ちはじめ、意見の相違も発生すると、やや厄介に感じます。
それが自分と違えば頭ごなしに否定する場面も出てきます。
これはごく当たり前に起こる光景だと思います。
しかし意見の対立ばかりが続いていたら、事業承継はスタート時点から進めないまま
タイムオーバーになってしまいます。
バトンゾーンには期間が設定され、その枠内で3つの動作を完了するというルールが設けられているからです。
時間の経過はお互いの年令を上げていき、引き返す余裕も蓄えもなくしていきます。
バトンゾーンの意味を共有したら、行動計画を作成します。
分裂、分解するようならバトンゾーンの入り口までです。
ここまでならやり直しがきき、事業承継に傷をつけなくて済みます。
バトンゾーンを描きスタート位置を決めることは、このリスクを抑える意味もあるのです。
バトンゾーンの渡し方は会社ごと期間もスタイルも違ってくると思います。
事業承継のバトンゾーンにおいて共通する大事なキーワードがあります。
「素直は大事だね」
お互いが素直であること。
バトンゾーンの中にある今、私は口に出して言い続けています。
スタートする前にこの「素直」が意味することを確認し理解し合う。
そしてゾーンの中ではその「素直さを持ち続ける」ことを確かめあうのです。
確かな「素直であること」が力を発揮してきます。
今、私たちが実感していることです。
「先代はなぜ必要にここにこだわるのか」
「彼はなぜ、こんな発想をするんだろう」
この2つの言い回しはネガティブにもポジテブにも解釈できます。
ネガティブにとらえれば、相手に忖度し意見もアイデアも自分の中に押さえ込んでしまうこともあるかもしれません。
それは、やがて不満になり批判になり1+1が0.5になってしまいます。
バトンゾーンが曖昧になり消えていきます。
こんな時は、お互いが自分に約束した「素直であろう」を言い聞かせ、
相手にも伝え、「素直さのある環境、関係」に戻していく。
素直を前にして話し合うことで真意が伝わり、新たな発見と創造につながるのだと思います。
とにかく「素直」を口に出すことで意外と簡単に素直に戻れます。
「素直」というテーブルがあるとすれば、そのテーブルに置くと邪魔になるものがあります。
それが、会長、顧問、相談役というリタイヤ社長の定番肩書です。
その肩書は小さな会社の小さなテーブルには置くところがありません。
私は会長と呼ばれたくないなーと常々思っていました。
それじゃあ、どのような呼ばれ方をされたいのかと考えました。
そのうちに、プロテニスのコーチを思い起こしました。
選手とコーチは試合に備え、入念な計画とメニューでトレーニングを積んでいきます。
いざ試合が始まればコーチはコートの外で選手を信じ、見守るだけです。
試合中は会話が出来ず、アイコンタクトのみ。
何か事業承継に似ています。
「ん。コーチか」?… でもちょっと恥ずかしいなあ。
コーチは現役を終えて、その専門性や経験を活かし、監督、選手をサポートする。
選手は自分の潜在的能力を引き出すためにコーチの経験と知識を利用する。
社長という監督の下で働き、監督の方針に助言したり戦略を練ったり、選手をケア、サポートする役はコーチが担います。
そして監督、選手はコーチを信頼してのアドバイスや時には叱咤にも素直に応じる。
「これだね」
社長とコーチがともに「素直」を味方につければ、
素晴らしいバトンゾーンを描け、その期間を楽しみ、結果もついてくる。
そして何よりも豊かな事業承継が実現すると思います。
いま、育暮家はバトンゾーンの後半にあり、最後の詰めの段階になりました。
満点ではないかもしれないけれど、楽しいのは事実です。
コーチ解任も近いのかもしれません。
小企業の悩みは人財不足と人出不足です。
時にはプレイヤーとして担える「コーチ」の存在は、人財と人出不足の小企業にはうってつけのように思えます。
事業承継のめどがつくと、これまで頑張ってきた社長は、
解放感を満喫するかあるいは、自分の居場所がなくなる寂しさにかられるかもしれません。
次のステージのライフプランづくりは、バトンゾーン中で描き準備出来たらいいなあと思います。
今、「持続可能」という言葉をよく使います。
未来に何をつなぎ、残していくか。
SDGsをコンパスにして事業承継というエンジンを動かし、
未来を託す人、未来に向けて行動する人、未来に暮らす人が繋がっていく。
そこをサポートするのが様々な企業、家業の名コーチ。
そう言えたらいいなあ、と思います。
私の夢は全国に事業承継においてコーチという役割(名称)が一般化し、会長、顧問、相談役に変わる名称として広まることです。
いつかそのコーチたちが集う場ができる。
家づくりのコーチ 障子コーチ 人育てコーチ 大根づくりコーチ 旋盤コーチ あんこコーチ などなど
「共に持続する地域企業」を旗印にする「全国コーチの会」の実現です。
2030年に全国の名コーチが集い「SDGsの成果を味わう会」が小さくても開催するのを
一つ目のゴールに出来たらいいなあと思います。
行動を時間軸に落とし込む、これはSDGsの基本です。
コーチには必ず任期を設ける。それはそれぞれの企業内におけること。
それぞれの人生のゴールには任期はありません。
私のコーチとしての任期は1年更新でその先はまだ未定です。
まずは与えられた任期を全うすることです。
気力、体力、技術そして「素直さ」を保ちながら。。。
と言ってると横から、、
「あなた、いつまで居座ってるつもり!?」
これは嫁さんのきつく優しいVoice。
コーチは必要とされて初めて存在を許されます。
任期は自分では決められません。
社長、スタッフそれにお客様に委ねられているのです。
頑張ります。
30年以上の間、一緒に家の写真を撮ってきたカメラマンの村山さんがいます。
村山さんもコーチとしてバトンゾーンの中にいます。
先日、事業を継ぐ息子さんがドローンで私たちの拠点「育暮家むぱす」を撮影してくれました。
お父さんは経験で映像をイメージし、息子さんは最新テクノロジーで映像をブラッシュupします。
これで 1+1 が3になったクリエイティブな画像を提供しくれます。
音楽とメッセージを加えてUチューブに上げました。
お時間ありましたら是非6分間の空中遊泳をお愉しみください。
こちらは育暮家むぱすのガーデンのお花の画像を、スタッフのスマートフォンから集め、
言葉を添え動画にしたものです。
ガーデナーとしてお庭を育ててくれている、矢郷さんへのお礼を込めています。
矢郷さんは人生の後半を土と植物のコーチとして、私たちを指導してくださっています。
お花と写真がたくさんあってつい長くなりました。11分もあるんです。
忙しいときですと離脱率が上がるかもしれません。
疲れたとき、時間にゆとりがあるときにゆっくり・・・と楽しんでいただけたら嬉しいです。
コーチの会の話はまだ、始まったばかりです。
少しづつ具体化していきたいと思います。
ご興味のある方は是非声をかけてください。
コーチ杉村
2020/10/10/土 10:53 am Category:育暮家コーチ杉のfoot-path