2021.10.16.土 デザインとアート

育暮家の事務スペースは活版印刷所の作業場をリフォームしたものです。

床は大井川桧のフローリングで壁天井は県産材合板の表しです。

事務カウンターは地元の工場で生産されている、ヒノキのサンドイッチ、Jパネルを使っています。

 

事務所の椅子は素朴な木仕立ての雰囲気に合うだろうと

デンマークの家具デザイナー、キャスパーサルトのナップチェアーを選びました。

色はクリーホワイトです。

並んだときはカッコよかったです。

 

でも、やがて次第にスタッフはカウンタ作業がしにくかったのか

それぞれ椅子を持ってきて試しながら座るようになっていきました。

腰痛持ち、身長、設計や事務作業の適正、いろんな条件から

それぞれが自分に合う椅子を模索し始めたのです。

当初からのキャスパーサルトのナップチェアーに

座っているスタッフもいます。

 

そして、ナップチェアーは徐々に愛される居場所を求めて移っていきました。

 

本当に申しわけなくまず謝らなくてはいけないのが、

キャスパーサルトさんに向けてです。

理由は、私が全く椅子のデザインを理解しないで使ったことです。

 

次にスタッフにです。

育暮家の事務所で、少し無理がある姿勢で仕事してもらったことにです。

 

このことで反省することはいっぱいありますが、第一には

デザインとは何なのかが曖昧だったこと、そして勘違いしていたことでした。

そこで、浜松のデザイン事務所ブルックスタジオの藤田さんに教えてもらうことに。

 

先ず、デザインとアートの違いから説明してくれました。

デザインは、相手がいること、目的があること、結果が問われること。

 アートは、相手も目的もない自分の感性によって自由に描く世界。

 

シンプルでとても分かりやすい解説が返ってきました。

あまりにも無知な私に向けて、言葉を選んで説明してくれたのだと思いました。

数日後、デザインに関する数ページの専門的資料が送られてきました。

 

キャスパーサルトの椅子ナップチェアーは

“椅子は身体を休める場所である”とのコンセプトからデザインされていて、

あらゆる姿勢で座っても、背座一体の曲線が身体にフィットする、座り心地にこだわってデザインされ

過度な装飾のないシンプルなデザインは、リビングやご自宅の書斎など、カフェテリアなどの商業スペースはもちろん、

会議室やオフィスなど、置く場所や用途に縛られないフレキシブルな使い方が可能だと紹介されています。

幾何学的な美しい曲線「NAP armless-chair(ナップアームチェア)」 (hld-os.com)

 

依頼者(相手)は、FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)。

”座り心地を追求した椅子を作りたい”というからの要望があって生まれた椅子だったのです。

デザインは依頼者の要望と目的を果たし、結果(ユーザーの支持)を得る、出すこと。

多くの方から愛用される椅子の魅力は、デザインの本質が満たされて使われてこそのことだと分かりました。

 

デザインの目的を理解して使う・・・これは私たちユーザーのマナーと責任だと痛感しました。

 

私たちが生業にする家づくりに置き換えても同じことが言えると思います。

家とデザインについても見直していきたいと思います。

雨も少し冷たくなってきました。

2021/10/16/土 01:32 pm Category:育暮家コーチ杉のfoot-path