2016.09.10.土 女性が導く住宅中古流通の未来

住宅の劣化状態や不具合を調査診断することをホームインスペクションとよばれています。特に住宅を売買する場合、その建物の状態を知ることで納得して取引が出来ます。その調査診断を行う人をインスペクターと言います。住宅を売りたい人が依頼する場合と購入予定の人が依頼する場合とがあります。

私はNPO法人日本ホームインスペクターズ協会の会員になっています。日本インスペクターズ協会が行っている資格試験に合格していますが、お金をいただいて行う「業務」としてはやっていませんので名前の公開はしていません。時々協会からセミナーや研修会の案内が送られてきます。今回は長嶋理事長による特別セミナーとのことで参加しました。タイトルは「宅建業法改正でどうなる?ホームインスペクションがもたらす不動産市場へのインパクト」でした。img_1347

中古流通、売買が盛んなアメリカではインスペクターとよばれる人が25000人ほどいるようです。この30年間に急増したのです。不動産物件のWEB公開も進んでいてかなりの情報を得られるようです。こんな例もあると、住宅地図上にそれぞれの土地建物の価格目安(不動産業者が独自で?)が表示されている例を紹介してくれました。掲載内容によってはいささか行き過ぎ感のあるものもあるようですが、いずれにしても膨大で多彩な物件情報のweb公開はオープンな不動産市場をつくっています。

日本の中古流通市場はアメリカの1/3?位でしょうか。日本の住宅のストックが増えていくなか、国では住宅ストック流通市場の活性拡大に力を入れています。日本では家の資産価値を築年数と照らしあわせて判断される場合がほとんどですが、アメリカでは築年数は関係ありません。建物の現状が評価され価格に反映されます。それだけに普段から資産価値が落ちないよう家に手をかけ、売買時にはインスペクションで価値評価を確認しているのですね。

日本では人口減、核家族化する中、家の継承は家族間だけでは成り立たなくなってきました。人口が減り人口密度が低下したエリアに住む住民には居住誘導区域への転入を即す施策も進んでいるようです。住み替え、売却し現金化、住宅以外への転用、借家化などが加速していくような気がします。そんな場面にインスペクターが求められるようになるのでしょうか。ただ、個人情報管理や金銭的利害関係が生じやすい業務だけに、インスペクターの倫理(観)や経験、知識そしてフットワークが問われていきます。

セミナーでアメリカでは不動産エージェントの半分が女性だと聞き、暮らしや家庭の中心である女性が家や宅地を扱う不動産業をリードしていくことはとてもいいことだと思いました。不動産業界と言えば、かつてアメリカでも今の日本のように男性ばかりの世界だったとのことで、日本でも住宅の流通活性化と合せ女性がリードする業界になっていくこと願っています。育暮家でもリフォームの現場調査を通して、女性スタッフがインスペクションに積極的に参加し経験を積み、調査の質を上げていきたいと思います。p90811041111

セミナー会場は名古屋プライムセントラルタワーでした。エントランス脇の小さなサルスベリの林では猛暑に咲かせ続けたピンクの花を閉じようとしていました。残暑の中にも秋がやってきています。

 

 

2016/09/10/土 08:15 pm Category:育暮家コーチ杉のfoot-path