2018.01.05.金 深い軒をパッシブデザイン
静岡も寒い日が続きます。
日射量の多い静岡では太陽を上手に活かせねば、と育暮家では声を合わせます。
お正月、下呂の巨石を見に行ったところ、
巨石の間に差し込む光が神秘的でそれを季節ごととらえて記録されていたよ。
とは、社長の話。
そしてこんな体験小屋があったとのこと。
小屋の屋根にガラスのスリットがいくつか開いていて、何かと思ったら
季節ごと変わる太陽角度に沿って入ってくる光の様子を紹介する仕掛けでした。
ボケている写真ですが、斜めの棒に太陽の光が当たって太陽高度がわかります。
いちばん上が夏至の光、一番下が冬至の光の角度になっています。
その角度幅は30度ぐらいから75度位、
日本の四季に沿った太陽角度の変化はこんなに大きいんだよね、って改めて感じます。
さて、この季節ごと変わる太陽角度は住まいにも大きな影響があります。
特に、室内に差し込む光です。
太陽の光は熱を伴います。この熱がありがたくもあり、厄介ものでもあるのです。
日本の家はこのありがたさと厄介ものをうまく「軒の出」で調整させてきました。
でも、最近の家の建て方はこの調整がうまくいってない、気配りを忘れている?ようなところもあります。
とはいえ、従前からの軒も万能ではないのです。
深い軒は夏の日差しを遮ってくれ、雨からも建て物を守ってくれます。
でも、冬の日差しに対してはもうすこし対応が必要と感じることがあります。
デザイン、意匠的にもすぐれた日本の軒ですが、その深さのために暖かな光が室内に届かない場合も多いですね。
育暮家は軒の出、軒の高さなどと窓との関係に悩むことも。
そこで、いろいろな工夫にチャレンジする事になります。
今進行中のこちらの家では2階の物干し場として、雨対策で深い軒を設けました。
ところが、深い軒の影響でその奥の部屋には太陽光が届かなってしまうのです。
ならばと、下の写真で見ていただける軒の一部に「光の屋根」を設けたのです。
これで、採光、太陽熱、物干し乾燥問題はほぼ解決し満たされました。
闇くもにガラス屋根をつけてもうまくいきません。ここで大事なのがガラス(網入り6.8mmトーメイガラス)の配置。
先ほどの屋根の向き、太陽高度に配慮し、ガラスの長さ、幅を決めていきます。
このような手法もパッシブデザインの一つだと思います。
太陽や風などの自然と応答する家、それがパッシブデザインの家。
日本の家づくりはパッシブデザインがたくさん詰まっているのですが
閉じがちになる近年の高気密、高断熱の家づくりのなかで忘れがちになります。
暖かな家は気密断熱がしっかりして成り立ちます。育暮家も断熱設計・施工力を強化しています。
それだけに、パッシブデザインをもっと極めなければならないと、みんなで話しています。
これから寒さも本格化します。静岡らしい自然の恵み(太陽)をいっぱい家に取り込む住まいを作っていきたいと思います。
これから開催される1~3月の見学会で、この光屋根の効果と役割、そして耐久性、メンテナンス性などを確認していただけたらと思います。よろしくお願いします。
寺坂
2018/01/05/金 11:29 am Category:設計・現場レポート