P,E,S これはパッシブ&エネルギー&セイフティーの頭文字をとってつなげた育暮家オリジナル文字です。私たちはずっと自然と応答する「パッシブデザイン」を大切に家づくりを進めてきましたが、それだけでは十分でないように思ってきました。せっかくパッシブデザインを活かしたのに、多大なエネルギーを使って暮らすことになっていたり、また家が健康に害を与えたり安全でなかったとしたら、豊かに暮らす家とは言えません。私たちは目指す家づくりを「自然の力を活かし、小さなエネルギーで健康に暮らす」P&E&Sに置くことを宣言します。

私達がパッシブデザインを
大切にする理由

私達がパッシブデザインを大切にする理由

自然が導く居心地のいいくらし

南側のデッキの上にすだれが置かれ、夏の涼しさを生み出しています。(平島の家より)

南側のデッキの上にすだれが置かれ、夏の涼しさを生み出しています。(平島の家より)

ユネスコ無形文化遺産に和食や和紙が登録されたとき、日本人であることに「うれしさ」を感じました。

日本には四季を楽しみ、暮らしに活かす住文化があります。その地域や季節とある日本の暮らし文化から和食や和紙が生まれてきました。

そのように書いてからはや5年経ちますが、うれしいことがまた起こりそうです。

和食や和紙に続いて、日本の伝統木造技術がユネスコ無形文化遺産に登録されようとしています。2020年には森林面積比率で世界に誇る木の国日本で磨かれてきた伝統的木造技術が評価されそうなのです。

ユネスコ無形文化遺産は6つの選考基準で評価されるようですが、6つ目の基準に「消滅の危険性」とあり、これにも該当する事でもあるのでうれしさも複雑です。大丈夫です。和紙や和食と同様にこれを機会にみんながその存在に気づき、誇りに感じることになります。そうすれば伝統的木造技術を学ぼう、やってみようと考える若者も現れます。そして伝統技術はつながってその危険性は少しずつ薄らいでいく。期待します。

伝統技術といえば私たちが大切にするパッシブデザインも該当するのではないでしょうか。日本の気候風土に合わせて住まいや暮らし方を育む。自然と共に家も暮らしも考える日本の家づくりの知恵がそこにあります。私たちがパッシブデザインを学ぶとき、伝統的住まいがお手本になる事も多いと思います。

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直射日光が当たるアスファルトは60℃

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木陰は32℃。日陰をつくる工夫が如何に有意義かわかります。

日陰づくりの知恵は優れた夏のパッシブデザインなのですね。

このところの気候変動による気温変化や自然災害も容赦ありません。住まいのあり方にも変化を求められます。それだけに自然と応答させながら住まいを快適する「パッシブデザインの知恵」はますます大事になったと思います。

太陽や風を暮らしの一部とし、自然の恵みと力を生かす知恵や技術を活用したうえで、新しい技術と連携すれば、きっと居心地のいい新たな「伝統的な日本のわが家」が実現すると信じています。パッシブデザインの家づくり是非、ご一緒させて下さい。

パッシブデザインをさらに詳しく知る

パッシブデザインとは何か?

パッシブデザインとは、建物に採り入れられる自然エネルギーを最大限に生かし、 人が本質的に望む「心地よさ」を生み出すための設計手法を意味します。

四季を通じて太陽の光があらゆる場所に降り注ぎ、窓を開ければどの部屋にも心地よい風が通り抜け、寒い冬の日でも、晴れていれば太陽の熱によって夜中までポカポカと暖かく、夏の暑い日でも土蔵の中にいるようなひんやりとした感覚が得られるような住まい。 こうした住まいを生み出すことを目指す設計技術がパッシブデザインです。

わが国特有の豊かな四季を感じながら、 しかも過酷な夏や冬をうまくやり過ごすことができる住まいは、 私たち日本人の多くが実現させたいと思うものでしょう。

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しかし、このパッシブデザインは非常に奥が深く、太陽エネルギーや風、熱や温度、人が感じる心地よさなどについて、十分な知識をもっていなければ実現できません。建物を外界から遮断し、機械に頼る発想で快適性を実現させようとするものではないからです。建物そのものが、心地よさを生み出す装置になっていなければならないからです。

もしパッシブデザインが十分に実現されたとき、その住まいには「自然な心地よさ」が創出されます。夏の森林や春の高原といった、自然環境の中にある心地よい場所と時間が建物の中に生み出されてくるのです。