我が家はもうすぐ、築100年。
古民家再生を検討し始めて、かれこれ10年。
ようやく結論が出て工事が始まった。
日本は世界に名だたる森林大国、その森は日本の暮らしと住まいの歴史を刻んできた。
広葉樹は炭や薪の材料として使われ、松やヒノキなどの針葉樹は世界に誇る日本の大工の技術によって、
力強くそして美しい日本の木の家の骨組みとなって私たちの目の前にある。
昭和30年代前半まで、普通に建てられていた「古民家」と呼ばれる家。
まさに森林大国が必然的に生んだ木の家の文化だ。
人口増加が後押しした40年前の家づくり。
家はハウスメーカーがつくる、大量生産の時代となっていた。
高度成長期を経て、ライフスタイルはすでに大きく変化していた。
ガスや電気、家庭のエネルギー源は化石燃料化していった。
産業は1次産業から2次、3次産業構造や就業形態は大きく変化する中、
これまで家に求められた役割は時代とすれ違いを起こすようになった。
古民家の間取りやつくりは、新しいライフスタイルに向いていなかった。
そのライフスタイルに合わせるために、土間部分を中心にリフォームが進んだ。
土間に床が貼られ、天井も付き、当然かまどは姿を消した。
リフォームよりも建て替えを選択されることも増えていった。
「このままでは日本の古民家が消えてしまう」
と声が大きくなってきたのは、35年前ごろ。
スクラップ&ビルドの矛盾にみんなが気づき、軌道修正していたころ。
その声は日本の伝統的住まいの魅力や価値再発見の機会を広めていった。
育暮家もこの声に共感し、創業当時から古民家への取り組みは始まった。
今回も古民家再生「家の力再生」のチャンスをいただいた。
今、ライフスタイルの考え方に持続可能が求められる。
この家の昭和のリフォーム部分の解体がほぼ終わった。
「小さなエネルギーで健康に暮らす」
の実現に向けて、住まい手さんと協働し、育暮家の技術と想いを活かしていきたい。