つなぐ住まいの整理

つなぐりふぉーむ。思い出や歴史をつなぐリフォームがあり、資産価値を維持しまた高めながらつなぐリフォームがあり、それを世代間で上手く活用するつなぐリフォームがあります。そこには思いだけでは解決できないことがあり、つなぐことのメリットを活かす情報や知恵が求められています。でも、つなぐリフォームで最も注意しなければならないことは、お金が絡み感情的トラブルに発展することです。何をどのようにつなぐのか、個人も地域も豊かになっていくと未来が変わります。いま、つなぐターニングポイントにきている気がします。

2 世帯でつなぐ 世代でつなぐ

お父さん、お母さんから息子、娘へ

2世帯で一緒に暮らすリフォーム、ご両親から引き継ぎし新しい家族で暮らすリフォーム、ライフステージの変化に合わせた早めの計画で資金計画にも知恵が湧いてきます。

おじちゃん、おばあちゃんから孫へ

世帯間でつなぐことに加え、世代でつないでいくという発想もあります。同居していなくても世代のつながりがあり、お互いの気持ちが通じ合えば、資産(土地やストック住宅)の受け渡し計画を3代にわたって考えることも大事になってきています。

賃貸や売買でつなぐ

解体更地、住む人がいなくなった家の最期の形です。でも、十分使える、できたら壊したくない家も少なくありません。インスペクション(建物調査・評価)を行い、今後どうするか客観的判断からつなぎ方を考えていきたいと思います。

アメリカでは住宅を投資対象ととらえて家に手をかけていくと聞きます。高温多湿の日本の気候の中で日本の家は住み手を失うと一気に傷みが増していきます。日本製の「家に手をかける方法」が必要です。思い出が詰まった家の資産価値を高めながら、家族以外のつなぎ手やつなぐ方法は、つなぐリフォームにヒントがあるかも知れません。

風景、歴史、思い出をつなぐ

「ここに来るとホッとするね」。「ここは車を降りて歩きたくなるね」。「小さなころあの軒下で雨宿りしたっけ」。家族が、地域がそれぞれの風景、歴史、思い出を持っています。新しさだけを求めた時代がありましたが、ここからは「つなぐ」ことの価値を考える時代なのかなと思います。

リフォームで思い切って過去と決別・・・リフォームで実現できる醍醐味です。もうひとつは、小さな思い出を大切に・・・もっと身近にすることも可能です。小さな工夫が生きる、思い出をつなぐリフォームは、しあわせをつなぐリフォームなのかも知れません。

古材としての活用も考えましょう

素材としてつなぐ

形や材としてつなぐ選択もあります。やむなく解体することになったとしても、つなぐことがゼロになったというわけではありません。お気に入りの部屋、思い出の詰まった場所、大切にしてきた家具や建具、部分的でも残し繋ぐことに努力することは可能です。また、磨きこんだ床、今では手に入りにくい材など上手く外して再利用など、これもつなげる為のいい方法だと思います。

旅に出ると「これが日本の原風景だよねー」みんなが一同に声を出し、見つめる場所に出会うことがあります。
移り変わる日本のストック住宅がつくる風景。時代で変わっていく風景、時代を経てなお変わらない風景。育暮家りふぉーむはどちらも大切にバランスよくつないでいけたらと思います。

ヨーロッパのある国では農家に田園風景を維持するための金銭的支援を行っているとか・・・

つなぐこと。

ひとつの世代から、次の世代へ。
想いをつなぎ、枝をつなぎ、伝統をつないでいく。
柏の葉が、翌春に若葉が確実に出たのを見届けてから身を引いていくように。
つなぐということは、残すべき「大切なもの」を絶やさないということ。
その上で「新しい」をくわえていくということ。

「新築」「家守り」「リフォーム」‥‥‥。
家のつなぎ方は、一様ではありません。
住まい手さんにより、また時代によっても、それぞれ。
求められるものが変わっていきます。
大切なのは、そこに「住みごたえ」という価値があるかどうか。
建築するときから、リフォームしやすい家をつくっておき、
必要によって直し、つないでいく暮らしを大切に考え、
そのお手伝いをする「育暮家」であり続けたいと思います。