2020.02.14.金 U値の先に ドイツ小旅行その5

前回、塩野七生さんが高校生との対話の中で話されていたこと書きました。

山を越えていくお話です。

 

私たち工務店は住まいの温熱改善という山を登っています。

でも、すべての工務店ではありません。

目の前の山は同じ高さの山であっても、それぞれの工務店で感じ方が異なります。

高く見えたり、低く見えたり。

中には目の前の山の険しさに登ることをあきらめてしまうところもあります。

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(スイス ツーンという町の高台からスイスのアルプスが見えます)

 

育暮家も住いの温熱改善の山を越えてきました。

課題も多くその山を克服したとはいえませんが。

 

一つめ山は「断熱」でした。その山を登ると「気密」という山が現れました。

その山を登ると次は「遮熱」という山に出会いました。

ようやくその山を越えると今度は「結露」そして「換気」という山が立ちはだかりました。

その山は私たちにはかなり高く険しい山に見えました。

とにかく山は超えていかなくては目標地には行けません。

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そしてこの山が最後の山だと思いながら登り始めると、霧が晴れてきて次の山の山並みがそこに現れてきました。

その山は「調湿」「蓄熱」という山です。

その山はとても美しい姿と豊かな自然に包まれています。

まだ、私たちは「換気」という山の5合目付近です。

結構苦しい山登りです。

でも、目標に見える山が見えてきたことでみんなの足取りは力強くなりました。

 

私たちは「高設備・高リスク」。

これまでの経験の中からこんな言葉を使うようになりました。

HP内の「家づくりの基本」にも書きました。

出来ればなるべく機械に頼らないで済む家づくりができないものだろうか。

 

次に目指す山「調湿」「蓄熱」にその答えがあるのかもしれないと思うようになりました。

ドイツ南部の森を案内してくれた池田さんのブログも参考になりました。

 

U値の先に

住いの温熱環境やエネルギー消費量を計算するとき出てくるのが

U値やQ値C値、そしてWatやColやジュールなどなど

私たちは次々と現れてくる妙な記号に、不安感を抱いた時もありました。

その時に現れた救施主が野池政宏さんでした。

もう10年前になります。

埼玉で素敵な工務店経営をされている小林建設さんでの勉強会が初対面でした。

そのころの育暮家は、次世代省エネ基準にもびくびくしていました。

そして、この10年,温熱やパッシブデザインの技術は飛躍的に

工務店内に行き渡っていきました。

国の住まいの断熱基準も更新を重ねました。

ただ、この急激な変化に工務店は慣れない熱やエネルギー計算に対応出来る工務店と

そうでないところに分かれてしまいました。

これはみんなが越えなければならない一つの山なのですが。

そんな苦しむ工務店を支援しているのが、元高校の物理の先生だった野池さんなのです。

とても頼りになる大切な存在です。

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物理と言えば

ドイツの家づくりは建築家,デザイナーと別に建築物理の専門家が事務所を構えていて

温熱の計算はその建築物理事務所が行うようです。

デザイナー+建築物理専門家 このスタイルで家の設計が進むそうです。

だから、日本の工務店は何から何までで大変なんですよね。

 

1昨年、新しい断熱基準の義務化へと進むか議論が重ねられ、結果ついてこれない工務店が多くて

それでは混乱するのでと、新断熱基準の義務化は見送られました。

その代わりにと家を建てる住まい手さんに対し、担当した家がどの基準でどのように設計されているかなどの

説明が義務付けられました。

施行はもう少し先になります。これから私たちにその説明方法についてセミナーが開催されていきます。

この動きに、一部の建築家の方々は「今でさえヨーロッパと周回遅れなのにまた遅れてしまう」と嘆いています。

 

確かにそうですね。

ドイツに来て感じていることでもあります。

難しいです。今、工務店の中には温熱の山のひとつ目を越えられないで悩んでいる方もいます。

人出不足も顕著になり目の前のやることが多くなって。

高断熱用の断熱材がニーズが少なくすぐに調達できない建材店があります。

でも、災害時にはこのような工務店も建材店も一緒になって、また中心になって災害復旧に励みます。

山を越えられないで苦しむ工務店を否定し、疎外することは出来ません。

私は、この義務化の意見感想のアンケートを求められたとき、「義務化は必要だけどもう少し待ってください」

と書きました。

 

しかし、そんなに待てなくなっています。

みんなで助けあって暖かで小さなエネルギーで暮らす家を作らなければ

結局、あとでお金をかけてリフォームして性能を上げなければならなくなるかもしれないからです。

気候変動も真実となってきたようだし。

 

でも、でも

ドイツに行って温熱・断熱で整理できたことがあります。

あちらこちらの家の屋根の煙突から上がる煙を見てからです。

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そこにU値の先を見たような気がしました。

この話は私の中ではとてもクリアです。

また次の機会にさせてください。

 

再度、池田さんのブログ もご覧ください。

 

Posted by sample5 2020/02/14/金 04:50 am Category:育暮家コーチ杉のfoot-path